お世話になって居ります、河瀬です。
そろそろ年度末となり、何かと慌ただしいですね。
教室の方も毎年この時期はご新規ご入会のお申し込みや、既存の生徒様もお時間や曜日のご移動があり、5〜6月まではスケジュールが定りません。
お子様方におかれましてはご進学、ご進級に伴い、新しい環境への出会いと別れの時期でありますね。
ご成長に連れて、各方面でのご活躍はご本人もご家族の皆様も楽しみにされている事と存じます。
しかし、中にはそういった新しい環境やその先へのご不安を抱えていらっしゃる方も少なくないかと思います。
冒頭から明るくないお話で大変恐縮ですが、実際に子どもの自殺リスクは夏休み明け9月の新学期、春休み明けの新年度4月辺りがリスクが高まる傾向とされています。
https://www.mext.go.jp/content/20241212-mxt_jidou02-000039266-00112-1.pdf
取り分け昨年2025年令和7年は子どもの自殺者数は大変残念ながら過去最多となって居り、ここ数年は微減の年は有りますが概ね右肩に上がって居ります。
https://www.mhlw.go.jp/content/001680736.pdf
確認されている範囲での理由としては、学業、進路の不安、いじめ等の対人トラブル、心身の健康上の問題、次いで家庭の問題とされています。
https://www.mhlw.go.jp/content/2024-2-1.pdf
どの問題に於いても我々のような音楽講師がお役に立てる事は無いように思われ、実際に殆ど無力と言っても過言では無いでしょう。
僅かながら、もしもご本人が音楽にご興味がお有りになるのであれば、ほんの一時、楽しい充実した時間を過ごして頂く事は出来るかも知れません。
音楽療法ベースのレビューですが、以下のように思春期の鬱、不安症状他、心身の健康に良い影響がある事が纏められています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34854208/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40421183/
また、子どもの生活上のトラブル、不安等の背景にある事が多い神経発達症(様)に対するアプローチの有効性も多数報告されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39896995/
上記のような有効性は子ども特有の言語能力の乏しさ、状況等による表出、表現する場の機会の少なさ、或いは自他の共感の少なさから、感情が処理されず溜まりがちになる事がファクターである場合、音楽の特性である非言語的且つ直接的な感情表現による活動は確かに有効性を支持出来る活動と考えられます。
情動の外在化、だけではなく、合奏や合唱、二人以上のグループでの音楽活動(講師との合奏、伴奏、セッション等)は、共感、心理的な安心感・孤立感の軽減に寄与し、音楽の習得、表現の達成は自己効力感・肯定感も養われます。
然しながら、レッスンの様相が音楽療法的なアプローチではなく教育、学習活動の競争的、強制的な側面が強まると心理的な負担が高まり、有効性が打ち消されてしまう可能性が有ります。
もしも音楽レッスンの目的を上記のような心身の支えとして捉える場合、非評価的であり、常に能動的な姿勢を支持しなければなりません。
練習は毎日、或いは決められた時間に行わなければならず、上達が認められない場合レッスンを終了する、というような制約を感じながらの音楽レッスンは、ある程度の成果が期待される一方、心身の健康への有効性に対しては障害となる場合が有ります。
音楽教室に通う方の殆どがレッスンを教育活動、学習活動として捉えていらっしゃると考えられるため、療法的な効果を期待されている方は少ないでしょう。元より音楽は薬物療法等に比べ、万能ではなく、効果は非常に補助的と考えられて居り、心身の問題の根本的な解決はご成長と大きな環境の整備、その他のサポートを主軸とするべきでしょう。
然し、音楽教室のレッスンに対する目的認識はall-or-nothingの二者択一では無く、現状に対し何方の役割がより必要とされるかという意識が望ましいのでは無いでしょうか。
上達や練習が捗らない時期があったとしても、学習活動、教育活動の側面からは滞っているように見える場合でも、療法的には決して無意味ではない事、上記の様な有効性が有り、それは予防的な意味合いを含んでいる事をご理解頂けますと、ご本人も安心して音楽を楽しめるかと存じます。
希くは上記その他の有効性も含め、有効的に有用的に、或いは友好的に生涯に於いて楽しめるものになるよう、お手伝いが出来れば幸甚に御座います。
皆様の楽しい音楽生活を祈って居ります。
