お世話になって居ります河瀬です。
お子様は夏休みも終わり二学期ですね。
当教室の河瀬クラスは今月末が発表会になり、仕上げの段階に入って居ります。
参加者だけではなく私も伴奏の練習に励んで居り、お互い無事に終わる事を祈って居ります。
さて、今年はお子様のヴァイオリンレッスンのお問い合わせが多く、先日メンテナンスを終えた体験レッスン用の楽器も活躍して居ります。
その後御入会頂いた方からは楽器のご購入のご相談を頂くのですが、どのくらいの値段のものを購入するべきか、という事をよく尋ねられるのですが、私個人の感覚では2、3万円〜6、7、万円辺りが相場と思います。
教材が進み、曲の難易度が上がっているお子様で、サイズ変更の買い替えの場合はもう少し高めの良いものをお求めになる方もいらっしゃいますが、身長が伸びるまでの一時期の楽器に10万円を超える予算は少しお高く感じます。
大人用の楽器に対し、子供用の楽器は身長によって1/16、1/10、1/8、1/4、1/2、3/4、という6つのサイズが御座います。
レッスンの開始年齢が早い程、楽器の買い替えが多くなりますので、予算は抑えたいところだと思います。
実は子ども用の分数楽器でも、1万円程のおもちゃの様なレベルのものから数百万円以上するオールドイタリーの楽器が御座います。
コンクールに出場するようなレベルのレッスンで有れば高価な楽器が必要ですが、一般習い事、御趣味としてのレッスンで高い楽器を使用する必要は有るのでしょうか。
私個人の感覚では、高い楽器の違いは、ある程度の価格帯までは、音の質も違いますが、音の出しやすさ、弾きやすさといった性能面での品質の差を主に感じるため、導入教材が終わり、ある程度レッスンが進んでいるのであれば、数万円の差でも弾きやすさの違いを感じる事が出来ると思いますので、楽器の値段は長期的に見ればレッスンの進度に反映されると思います。
加えて、ピアノと比べると、ヴァイオリンの教材は、所謂クラシックというジャンルから思い浮かべられる作曲家(バッハ、ヴィヴァルディ、ベートーベン、等)の楽曲が早期から使われているものが多いため、より西洋音楽らしい音楽感を養うためにも、楽器の値段を上げてヴァイオリンらしい音のする楽器を使用する事は値段に比例した価値があると考えられます。
逆に、姿勢、持ち方、音出し、程度であればおもちゃの様な楽器でもレッスンは可能ですが、具体的な曲を弾くようになってくると、そういった楽器ではレッスンの進度に対しハンディキャップを感じやすく、ヴァイオリンらしくない音の楽器ではクラシックヴァイオリンを習っているメリットの大きな一つが養われにくい事も考えられます。
私もレッスンに必要なご予算は少ない方が良いと感じますが、以上の様な観点から、やはり掛けて頂いたご予算の価値は有ると考えて居ります。
先程の価格相場とレッスンの進度等を参考にご予算をお考え頂いては如何でしょうか。
しかし、身長が大きくなられて弾けなくなってしまう分数楽器はその後の価値が無く、その場限りの出費なのではと思われるかもしれません。
ヴァイオリンの様な弦楽器は、トランペット等の金管楽器、ピアノの様な鍵盤楽器、に比べ遥かに寿命が長く、ピアノの場合、音のピークは30年程、実用としては60年程と言われて居りますが、ヴァイオリンの場合、ストラディヴァリウスの様な300年程前の楽器でも現代の新作楽器を超える音の価値があり現代の一流の演奏家が第一線で使用されて居ります。
私の使用している楽器も100年程前のものになりますが、実は体験レッスン用の分数楽器も40年程前の楽器が殆どです。
音も性能も新作楽器と全く引けを取りませんし、木材の質としても近年の高騰、資材の枯渇等を考えると以前の方が価格に対し質が良いとも言われて居ります。
残念ながら数万円の楽器をお売りになる場合、単に中古扱いになるため、買値に対し売値が上がる事は考えられませんが、適切なメンテナンスを行い、お手元に置いていただき、ご友人、ご親戚様にお譲り頂く事も可能ですし、お孫様、ひ孫様、代々のご使用をお待ち頂くのも素敵だと思います。
何十年、何百年と続くストーリーを想像するとご予算が上がるかもしれませんね。
※写真は私の現在の楽器と1/16(Suzuki Anno1986)


